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コラム

司法書士は、不動産の権利登記の専門家です。
不動産権利登記には、不動産の所有権に関する登記、抵当権に関する登記、はたまた買戻権に関する登記など、多くの権利に関するものがあります。
権利というものは、目には見えません。目に見えないものをどう登記するか、それが司法書士の専門家としての手腕になるところです。
例えば、不動産を売却すると、不動産に関する権利はどう変動するか。一体何の権利が変動するのか。という問題が生じます。
答えを言えば、不動産を売却すると、売主から買主に所有権が移転します。これを登記する必要が生じるということです。
当たり前の話に見えますが、この考え方が非常に重要で、また不動産権利登記の大きな原則になっています。
相続登記、相続登記と言いますが、多くの方は、要するに亡くなった人から現在の相続人に名義を移せばよいのだろ、という考えで行うこともあると思います。
ですが、この相続登記も、先ほどの考え方でいうと、相続を原因として亡くなった人から現在の相続人に不動産の所有権が移転したから登記するということになります。
根本的には、この考え方に基づいて、不動産権利登記は成り立っているということです。
住宅ローンを返し終わった。そうしたら、不動産についている抵当権は、どのような変動がなされるのか。突き詰めて言うと、こういう権利の変動、物権変動を考えて登記することが不動産権利登記のそもそもの所以なのです。
司法書士は、不動産権利登記の専門家ですが、この目に見えない物権変動を起きた社会事象から捉え、登記を申請していく専門家です。
星の王子様が、目に見えるものより目に見えないものの方が大切と言ったようですが、不動産権利登記にも繋がることかもしれません。

司法書士 今井　久雄